鼻づまりの原因と治療法

鼻づまりの原因

鼻づまりは、空気の通り道である鼻腔がふさがって起こります。アレルギー性鼻炎によるものがどの世代でも多くなっており、乳児期のアデノイド、大人の肥厚性鼻炎や鼻中隔弯曲症、副鼻腔炎が続きます。

 

1鼻腔粘膜の腫れ

鼻腔の粘膜が炎症やアレルギー反応などにより腫れて鼻づまりが起きています。

原因

鼻炎や副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎、肥厚性鼻炎、妊娠性鼻炎や点鼻薬の常用による腫れ

2鼻汁

鼻汁が溜まって空気の通り道が狭くなるだけでなく、多くの場合は変膜の腫れも伴って悪化します。

原因

鼻炎や副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎

3軟骨や骨による空気の通り道の狭窄

鼻中隔の彎曲や、鼻中隔外側の下鼻甲介が分厚いなどにより、空気の通り道が極端に狭くなることがあります。

原因

鼻中隔弯曲症、アレルギー性鼻炎、肥厚性鼻炎

4鼻腔内のできもの(鼻茸など)

鼻の中にできものがあると、空気の流れを阻害して鼻づまりを起こします。副鼻腔や鼻腔内の粘膜が炎症で弱くなり。軟らかく腫れる組織変化を起こしたものが鼻茸です。鼻茸は薬物療法で完全に消失させるとこが困難なため、腫瘍ではありませんが手術で摘出する必要があります。ただし、片側だけにできている場合、良性腫瘍である乳頭腫の可能性もあります。

原因

副鼻腔炎による鼻茸、乳頭腫、血管腫

5鼻腔内異物

鼻腔内異物食事中にむせるなどして米粒が鼻の方に入ってしまった経験を持っている方は多いと思います。また、鼻腔内にはティッシュの切れ端が残ることもあります。鼻をかんだ際にほとんどは表に出てきますが、そのまま放置していると炎症を起こし、重い鼻づまりや鼻汁の症状が現れることがあります。
また、幼いお子さんは気付かぬうちに思いもかけないものを鼻腔に入れてしまっていることが本当によくあります。取ろうとしてどんどん奥に入れてしまうこともあるので、頻繁に鼻を触るなどしていたら念のため受診しましょう。

6鼻咽喉(鼻と喉をつなぐ部位)が腫れている

代表的な病気にアデノイドがあります。これは、鼻と喉の間にある咽頭扁桃が生理的に肥大したもので、3歳~6歳頃までに大きくなりますが、その後は徐々に小さくなっていきます。
大人で鼻咽頭が腫れている場合、かなりまれな頻度ですが鼻咽腔がんの可能性もあります。

原因:アデノイド、鼻咽腔血管線維腫、上咽頭がん、その他の腫瘍

鼻づまりの症状

  • 粘度が高く青っぽい色の鼻汁
  • 鼻をかんでもうまく出ず、鼻汁が喉に回る
  • 痰や咳がよく出る
  • 片方だけ鼻づまりが起こる
  • 鼻づまりが左右交互に起こる
  • 鼻づまりで鼻血が出ることがある

目安として、症状により疑われる疾患は以下の通りです。

  • 粘度が高く青っぽい色の鼻汁と、鼻汁が喉に回る症状は副鼻腔炎が疑われます。
  • 片方だけの鼻づまりは、鼻茸や鼻中隔弯曲症の可能性があります。
  • 左右交互の鼻づまりは、鼻中隔弯曲症でよく起こる症状です。
  • 鼻血を伴なう症状では、アレルギー性鼻炎と副鼻腔炎、そして鼻内腫瘍の可能性があります。

耳鼻咽喉科で専門的な検査や診療を受け、適切な治療を受けることが重要です。

鼻づまりの検査と治療

鼻づまりの診療では、問診と視診に加え、レントゲン検査やCT検査、血液検査、ファイバースコープや電子スコープによる検査などを必要に応じて行い、原因を見極めて、患者さんと相談しながら適切な治療を行っていきます。

鼻づまりの治療

鼻づまりの治療基本的に処置とネブライザーによる治療、内服薬や点鼻薬の処方といた保存的両方を行います。検査によって手術以外では改善が見込めないとわかった場合や、保存的両方では思うような治療効果が得られない際には、手術を検討します。また、再発を繰り返している方で、根本的な治療をご希望される方や、お薬をできるだけ飲みたくないとお考えの方にも手術をおすすめすることがあります。

ネブライザーによる治療について

霧状になった薬剤をコンプレッサーで鼻腔のすみずみまで届ける治療機器です。鼻腔をきれいに清掃する処置をした後で行いますので、点鼻薬を使うより高い効果が見込めます。

アレルギー性鼻炎による肥厚性鼻炎

処置とネブライザーによる治療
鼻汁を吸引して鼻内を清掃した上で、ステロイドや抗ヒスタミン剤をネブライザーですみずみまで届けます。

内服薬

鼻づまりに効果的なアレルギー治療薬である抗ロイコトリエン薬、抗トロンボキサンA2薬を使用します。数週間以上、指示通りに服用することで会z年していきます。

点鼻液

ステロイドの点鼻液を使用しますが、点鼻薬の場合、ほとんど副作用の心配がありません。ステロイドには抵抗を感じる方が多いのですが、むしろ血管収縮剤の点鼻液の方が常用による悪影響は遙かに大きく、薬剤性鼻炎は血管収縮剤の点鼻液によって起こっています。

こうした保存的療法で思うような効果が現れない場合には、手術を検討します。
保存的療法ではアレルギーが根本的に治るわけではないため、治療を受け続ける必要があります。そこで当院では、再発と治療を繰り返し、根本的な解決を望まれる方にも手術をおすすめしています。

手術

一般的な鼻腔粘膜焼灼術を選択します。

副鼻腔炎による肥厚性鼻炎

処置とネブライザーによる治療

鼻汁を吸引して鼻内を清掃した上で、ステロイドや抗生物質をネブライザーですみずみまで届けます。肥厚性鼻炎による鼻づまりの場合、効果にかなり個人差があります。

内服薬

粘膜の一時的な腫れには、抗炎症剤を内服することで効果が期待できます。

点鼻液

必要があればステロイドの点鼻液を使用し、鼻づまりを一時的に解消できます。ステロイドには副鼻腔炎による炎症を抑える強力な作用があり、ある程度の効果が期待できます。

こうした保存的療法で思うような効果が現れない場合には、手術を検討します。
再発と治療を繰り返し、根本的な解決を望まれる方にも手術をおすすめしています。

手術

副鼻腔炎の炎症に関しては鼻内副鼻腔手術を行いますが、必要に応じて鼻粘膜焼灼や粘膜下鼻甲介骨切除を同時に行うことで鼻腔内の空気の流れを改善させます。

鼻中隔弯曲症

骨や軟骨の形状によって鼻づまり起こっているため、薬や処置で治すことができません。改善のためには手術が不可欠です。なお、成長期の場合、鼻の成長に影響を与える可能性があるため、19歳以上になってからの手術となります。

鼻茸

処置とネブライザーによる治療

鼻汁を吸引して鼻内を清掃した上で、ステロイドや抗生物質をネブライザーですみずみまで届けます。炎症を抑える効果はある程度期待できますが、鼻茸をなくす効果までは期待できません。

内服薬

服薬によって鼻茸が縮小するケースもありますが、確実性の高い方法ではありません。副鼻腔炎の内服薬であるマクロライド系抗生物質、抗炎症剤などを数ヶ月服用します。

こうした保存的療法で思うような効果が現れない場合には、手術を検討します。

手術

鼻茸だけ切除する場合もありますが、症状や病態により副鼻腔炎などの手術と鼻茸切除を同時に行う場合もあります。

幼児期のアデノイド

アデノイドは2~3歳くらいから大きくなっていき、5~6歳頃にピークを迎えた後、成長に伴って徐々に縮小していきます。ただし、個人差があって、中には成長してもほとんど縮小しないケースも存在します。

手術が検討されるのは、幼児期のアデノイドで縮小の時期を待てないほど強い鼻づまりがある場合、中耳へ悪影響を及ぼす可能性があるケース、また睡眠時無呼吸症候群の原因と考えられる時などがあります。

薬剤性鼻炎

血管収縮剤の成分が入った点鼻液は鼻づまりをすぐに解消してくれますが、これを常用していると鼻粘膜が肥厚し、薬剤性鼻炎を起こして頑固な鼻づまりになってしまいます。即効性があるからと使い続けることは絶対にやめてください。ステロイドを敬遠する方が多いのですが、鼻粘膜にはストロイドの悪影響がほとんど現れないため、むしろステロイドの点鼻薬の方がはるかに安全です。
血管収縮剤が入った点鼻液の使用を中止することが治療の基本です。鼻粘膜の肥厚がひどい場合には、肥厚性鼻炎の手術が必要になってきます。

妊娠性鼻炎

妊娠していると血液量が増え、後期にはかなりの量に増加し、毛細血管を広げます。鼻の粘膜には毛細血管がたくさんあるため、ここが晴れて鼻づまりを起こします。もともと花粉症などのアレルギー性鼻炎を持っている方が妊娠すると、特に症状が強くなります。出産後は血液量が通常に戻るため、鼻粘膜の腫れはすぐに引いていきます。
できるだけ薬に頼らない治療が望ましい時期なので、点鼻薬やクリニックでの処置が治療の中心になります。そのため、花粉症などの症状がある程度強く、妊娠を考えている方には、手術を先に受けておくことをおすすめしています。

 鼻内異物

食事中にむせて鼻腔内に米粒などが入ってしまうことによって炎症が起こる場合もありますが、注意が必要なのは幼児の鼻内異物です。幼い子どもは驚くようなものを鼻に詰めてしまうことがしばしばあり、取ろうとして奥に押し込んでしまうこともよくあります。鼻をしきりに触っていたり、青っぽい鼻水が出るようでしたら、早めに受診しましょう。
治療は異物を出す処置が中心ですが、炎症の程度により抗菌剤などの内服も必要になります。

良性腫瘍(乳頭腫・血管腫など)

腫瘍は薬剤や処置などでなくなることはないため、手術が必要です。

若年性鼻咽腔血管線維腫

頻度の低い疾患で、10歳代の発症が多いためこの名前がついています。性別では男性が多くなっています。この疾患により鼻出血が続くことがあり、全身管理が可能な高度医療機関に入院して治療を受ける必要があります。

悪性腫瘍

鼻や副鼻腔にがんができることは極めてまれですが存在します。鼻づまりや鼻血の原因になっていることもあるため、注意が必要です。全身管理が可能な高度医療機関に入院して治療を受ける必要があります。

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